2016/10/19

残業時間100時間で自殺したのか、パワハラだったのか?

電通社員が自殺した事件で、様々な議論がされているが、残業時間に対する世代的な断絶はあるかも知れない。

私は高度成長期を経験したので、残業時間は毎月100時間以上というのが周囲のどの企業でも普通だった(その代わり、サービス残業は無かったから、給料は毎月、本給の2陪とか3倍という人も結構多かった。そして不景気になって残業が無くなったために、車のローンが払えず会社に泣きついたなんていう話もあった。)ので、それで過労死とか過労自殺とかは個人的には考えられない。そんなことにめげていたら、当時の若者は皆死んでいたことになる。自分でも200時間を超えた月もあったし、それで、自殺を考えることも無かった。

その後、米国系企業に転職して、年俸制になり、残業というものは無くなったが、自分で計画を立て、コミットするので、予定通りに成果が出せなければ、どんなに残業しても頑張らなければならないので、外資系で働くということは、100メートル走のスピードでマラソンを走るようなものだから、報酬は良いけど、しんどいよ、と他人には説明して来た。

今まで採用面接をした人は何百人もいるが、何に一番重点を置いて筆記試験と面接をして来たかというと、ストレス耐性だ。競争の激しい国際社会で仕事をするには、あらゆるストレスに耐えられる人でないと、社員も会社も生き残れないから。今の日本の若者はストレス耐性が低くなったのかな?と思う。それと、アグレッシブさというか、ハングリーさというかが薄れて来たように思う。それが良いとか悪いとかではなく、グローバル企業で働くとはそういうことだということを理解して貰いたいのだ。

因みに、外資系企業で残業(規定の就業時間後も働くこと:オーバーワーク)が多いのは上司の方で、殆どの部下は定時で帰る。そこが、陰湿な日本企業の文化や体制と全く違うところだ。時間中に日毎が終わらないから仕方なく仕事をしているわけだから、外資系企業でオーバーワークしている人間は能力が足りないからだと見做され、恥ずかしいことなのだ。

例えば、ビルゲイツは社員数が数千人になるくらいまでは、全社員が彼にメールを直接書いたり、CCを入れたりするので、全部読んでいたそうだ。マイクロソフトは組織があっても実際には無いに等しく、ビルゲイツが全社員を直接管理していたという時代がしばらくはあったのだ。それで彼は家に帰るのは毎日午前2時、3時だったそうで、なかなか結婚も出来なかったという。結婚してからは、流石に米国家庭では奥さんと一緒に夕食を食べなかったら、即離婚だから、そうした残業はしなかったと思われる。世界一の金持ちになった彼も、それくらい働いた、ということを若い人たちには考えて貰いたい。

因みに、私が働いていた会社の米国本社で、結婚していても、定時に帰れない場合は、一旦帰宅して家族と夕食をしてから会社に戻り、残業をする人が多かったが、その理由は、夕食を一緒に食べなくなったら、離婚問題に発展するからと聞いた。

また、私の部下だったアメリカ人がその後、韓国のサムソンが半導体事業を立ち上げるに当たり、インテルから出向して技術指導をしていた時があるが、彼に聞いた話では、サムソンの人たちは、遅くまで働き、夜の8時頃になると、彼も誘って、皆で夕食を食べに行き、遅くまで飲食して、彼はホテルに帰るのだが、社員たちはそれから会社に戻り、深夜過ぎまで仕事をして、翌朝は始業時間の8時には会社に来ていた、ということで、どこの国でも、競争の激しい業界では、上司の命令が無くても皆自主的に残業をしてでも、予定した期間内に仕事を終わらせようとして働いているのだ。
国際社会で競争している企業で働くということは、厳しい競争に晒されているわけで、それに負ければ企業は生き残れないのだ。昨今の日本企業の衰退ぶりを見ていると、最近の日本人にはアグレッシブさやハングリーさが薄れて来たのかな?と思う。

そんな仕事の仕方はもう古い、と若い人たちは考えるのかも知れないが、その場合には、こうした激しい国際競争の無い業界で、異なる価値観で仕事をするという選択をしなければならないだろう。NPOなどで仕事をしている人たちは、期限を決めたり、コミットしたりせずにできる限りの努力はしますが、それ以上は約束できません、という場合が多いように経験上で感じているが、いわば、インターネットと電話回線の違いのように、ベストエフォート型の仕事の仕方なのかと思うが、それが全ての業界で通用する時代にはまだなっていないと思う。

ひとつ言えることは、欧米企業の場合、仕事が忙しくなり、人手が足りなくなった場合は、パートでも正社員でも必要なだけ採用するということで、人材の流動性が高いことと、個々の労働者の意識が高く、組合がなくても、残業をするような労働環境だったら、いつでも辞めるし、上司に文句を言うという点が、日本とは違う点だろう。だから皆、定時で買える。私が一番びっくりしたのは、ドイツに出張に行き、帰りのフランクフルト行き飛行機が遅れ、乗り継ぎ予定のJALに乗れなかった時、空港のカウンターで、翌日のフライトに予約変更をしたのだが、5時になったら、客が行列をして待っているのに、カウンターの担当者たちは一斉に帰ってしまったことだ。その場合も上司らしい人が残って、なれない手つきで端末を操作して乗り換え手続きをしてくれたことを思い出す。
日本でも新人類と言われた世代が入社した頃はそういう人が多かったと聞いた気がするが、どうなんだろうか?

さて、自殺事件があった電通についても、世界の広告業界で競争しているわけで、相当厳しい労働環境やプレッシャーの中で働かざるを得ないだろうと推測する。自殺した女性には厳しい意見かも知れないが、入社する前に、電通とはどういう会社なのかを調べなかったのではないか?と思われる。電通の企業文化は「鬼十則」で知られているものが基になっていると私は理解しているが、それを知っていて入社したのだろうか?と思う。恥ずかしながら、私は初恋の人に「あなたは恋に恋していて、私に恋しているのではない」と言って振られたのだが、自殺した女性も電通という企業文化に惚れて入社したのではなく、電通という名前に惹かれて入社したのではないか?と思ってしまう。

電通「鬼十則」、そして電通「裏十則」:
http://gigazine.net/news/20070316_dentsu10/

自殺した女性は、せめて、入社してからでも「裏十則」があることを学ばなかったのだろうか?と思う。
そうしたら、自殺せずに、上司や先輩のいじめも切り抜けることができたのではないかと思ってしまう。

残業時間100時間というのは、土日に8時間勤務しいただけで、80時間だから、毎日1時間残業するだけで、100時間になるし、週末は働きたくない、というなら、毎日4時間半くらいの残業である。それが原因で直ぐに自殺に繋がるとは考え難いので、原因はどちらかと言えば上司や先輩などが「電通鬼十則」に照らし合わせて、ねちねちといじめたというか、彼らはそれで早く一人前の電通マンになれ!と叱咤激励していたのかも知れないと想像するが受けた側はそれをパワハラと感じたことは間違いなさそうだ。
残業100時間が主因かパワハラが主因かは、外部の人間にはわからないだろう。

最後に、これは蛇足だが、米国企業の忙しい上司はメールは最初の5行だけ読んで、意味不明だったり、自分には関係ないと判断したら、削除する、という人が多く、最初の5行の中に、そのメールの結論や相手に何をして貰いたいのかを書かないといけない、ということがあるが、多くの日本人は知らないだろう。多分、ビルゲイツもこうしいていたと推測している。
起承転結が良い日本文の書き方だと国語の時間に習った日本人には、理解できない、なかなか実行できない、いや、全く気が付かないことである。これは、ベンダーでも顧客でも、外国企業の人を相手に英文でメールを書く時には、気を付けた方が良い。自分の英語力の問題で相手に伝わらなかったのかな?という経験があったとしたら、それは文章の構造の問題もあると考えた方が良い。だから英文メールは;

結論>理由>事実情報>背景・参考情報

といった順序で書く必要があるのだ。
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2016/10/19

日本が抱える人口と企業の双子の高齢化

以下は知り合いの柳田公市さんが 1995年からほぼ毎日一通を配信されているメルマガ "daily-topics"に投稿したものです。

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■中国のベンチャー起業とそれらへの投資が急成長~唐澤 豊 さん
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柳田さん、
おはようございます。

金田さんの下記投稿を読み、中国のベンチャー起業とそれらへの投資が急成長していることを初めて知りました。

> ■2.Yo-ren Limited CEO 金田修の新連載

> ベンチャーの聖地はシリコンバレーから中国へ金田 修さん

今週半ばに「生活 XIoT」というピッチ&マッチングのイベントがあり、
参加して、やはり初めて知ったのは、
ベルリンでは20時間に1社のベンチャーが起業されているとのことでした。
ググってみたら、関連する情報がありましたので、参考までにご紹介します。

ベルリン、第 2 のシリコンバレーになる?:
https://iq.intel.co.jp/is-berlin-the-next-silicon-valley/

24 万人の来場者が予想されるこのイベントで、
世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー、IFAの開催地であること。

最大のテック系イベントである Tech Open Air (TOA) が 7月に開催され、
このイベントは、ベルリンのスタートアップ企業を対象としたカンファレンスであり、
テクノロジー、芸術、音楽の分野で
イノベーションを起こす「チェンジメーカー」の交流を目的としている。

ということで、TOAに参加した雑誌「Impakter」執筆者のジュリア・ボルヤンスカは、
「ヨーロッパの未来を支えるスタートアップ企業の中心地で働きたいなら、
ドイツへの片道切符を予約するといいでしょう」と書いているそうです。

日本でも随分前からシリコンバレー構想がありましたが、未だに実現していませんね。

金田さんは、
日本も中国の起業熱にもっと目を向けて対応すべきとのお考えのようですが、
同時に「日本が抱える人口と企業の双子の高齢化」の内、人口の高齢化はなかなか
難しい課題ですが、企業の高齢化は、
起業をもっと容易にできるような環境を整えれば活発になると思います。

例えば、大企業で事業分野毎に社内ベンチャーを促し、分社化するだけで、
相当数の起業が可能だろうと思います。

これからIoTの時代になって行きますが、
私が参加した上記イベントで若い人たちが言っていたのは、上司が全く理解していないので、
なかなか提案しても実現に至らない、という意見が多々聞かれました。

ハードからソフトの時代になり、
そして今はサービス&アプリケーションの時代になっているので、
従来のままの組織や体制で良い訳はありませんよね?

「新しい酒は新しい革袋に!」ですから
「新しい事業は新しい会社で!」とすべきでしょう。

確か、伊藤忠商事さんは一時期、課長は全員分社化独立せよ、ということで、
2千社近くの子会社を作った時期があったと聞いたことがありますが、
大企業がそういったことをやれば、新しい会社はどんどん作れると思いますね。

それで、他社で働く同年代の人たちが起業を考えるようになれば、
日本でのベンチャー起業も増える可能性があるのではないでしょうか?

リクルートさんも40歳過ぎたら退職して独立・起業する、というのが
企業文化だと聞いたように思います。

何とか日本も企業年齢の若返りを計りたいものです。

唐澤
2016/10/18

ショック!日本は最もアジャイル開発に向いていない国?

昨夜、大学のOB会のひとつで、毎月開催している勉強会で、ソフトウェアエンジニアリングの鷲崎先生のお話を聴いた。

個人的には、日本のソフトウェア技術者は世界を相手に対等に戦える人は少なく、効率も悪いと日頃思っていたので、

「日本のソフトウェア品質や生産性は高いのか?低いのか?」

という講演タイトルには大いに興味があった。

その中で、2003年~2005年に調査された生産性と欠陥率が欧、米、インドと比較しても、日本はどちらも1番だったということにはちょっと驚きと違和感を感じたが、先生のコメントは、日本のソフトは余り売れていないので、欠陥率は低く出る、ということと、生産性とは成功率ということで、開発者が計画通り、仕様書通りに出来たか?という質問に答えていて、発注者なり利用者の評価ではないからだろう、ということで納得した。

そして、今後の話で、今は従来型の

仕様書>フローチャート>コーディング>試験>提供開始

という開発の仕方は、世界的にはもう古く、

コーディング>動作確認>β版提供開始>利用者フィードバック1>改善1>フィードバック2>改善2>・・・・・

というアジャイル開発が主流となっており、いわば永久にβ版を提供して頻繁にバージョンアップを繰り返す方法になっているということだが、日本は一番それが不得意な国ではないか?というデータがあるということで下記の図を示された。

Agile導入難度

確かにその通りだな~と納得した次第であるが、日本はソフト開発そのものがガラパゴス化しているということで、将来の見通しはますます暗いと思うが、この辺りを打開してくれる可能性があるのはベンチャー企業だろうと思うので、彼等に期待したい。

上記のデータはマイクロソフトの牛尾さん(シニアテクニカルエバンジェリスト)の下記講演資料にあるので、全体をご覧頂くと、もっと参考になる情報もある。
https://docs.com/ushio-tsuyoshi/3779

また、なぜアジャイル開発なのか?というと、例えばマイクロソフトは社員の50%が新製品のテストエンジニアで、更に残りの社員の50%は本業とは違うテストに従事していると、ビルゲーツが10年くらい前に、どこかの講演会で言っていたということで、この人数を減らすことができれば、経費削減で利益率向上が望めるわけで、利用者と一緒にと言うと格好良いが、利用者にテストを負担させている、とも言える訳である。新興ベンチャー企業にとっては、こうしないと経営上なかなか難しいという側面もあるだろう。
2016/10/17

93歳の李登輝氏がIoTを語る!

下記のYouTubeは今年の7月31日に、台湾の李登輝元総統が、石垣島で行った講演の模様です。
https://www.youtube.com/watch?v=PqEGIiSWJk8

この中で、日台関係の歴史を語られた後、これから何ができるか?という話の中で、日本の農業が衰退の危機に瀕しているから、IoTを活用して、田圃の水位を自宅に居ても確認・調整できるようにすれば、戦前に石垣島でのパイナップル生産に台湾の労働者が従事して成功したように、日本人の知恵と台湾人の製造技術をIoTの分野でも組み合わせれば、日本の米作り農家の人手不足も、解決できるのではないか?と提案されている。

当然、スタッフが提言してのことだろうが、93歳の日本人政治家がこんなことを言えるだろうか?
無理でしょうね。

この絶え間ない好奇心とエネルギーには脱帽です。
2016/10/01

技術者でなくても簡単にサービスのデモを作れるプラットフォーム登場

下記のニュース(英文)にあるように、"Built.io" という会社が、ワーク・フロー・マネジメントのお客さんへのデモを技術者でなくても営業の人がコーディングをすることなく、ドラグ&ドロップで作ることができる"Built.io Flow Express"というiPAAS(インテグレーション・プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を9月28日に発表し、10月4日にサンフランシスコで開催されるセールスフォース社主催のドリームフォースのブースでデモが行われるということです。

New Built.io® Flow Express™ Delivers Drag-and-Drop Integration to the Masses, Finally Allowing Business and IT Departments to Collaborate on Workflow Automation:
http://finance.yahoo.com/news/built-io-flow-express-delivers-190100640.html

Built.io社は、この他に、先進的なモバイル・アプリケーションとIoTアプリケーションを開発するための、法人向けモバイル・バックエンド・アズ・ア・サービス(MBAAS)として"Built.io Backend"も提供しているということで、今後の展開が注目されている、2016年度ガ―トナー・クール・ベンダーに選ばれているとのことです。
2016/09/30

カルビー会長が喝!長時間労働が日本をダメにしてきた

ダイヤモンド・オンラインに首記の記事がある。
http://diamond.jp/articles/-/83598?page=2

この中で述べられている、ベルリンの壁が崩壊して、従来型のビジネスモデルが成り立たなくなったのだ、というところは、成る程、そういう見方があるのか?確かにその通りだ!と思った。

【以下転載」

東西冷戦下の西側に属して規格大量生産の工業国でいればよかった。日本人はイノベーションは不得意ですが、見よう見まねで安くていいものを作ることにかけては、天才ですから。
その時代には、働くことの成果は勤務時間の長さで評価することが可能でした。1時間で一つのことができる仕事なら、2時間では二つという具合に、時間と成果が正比例していたのです。

しかしそれは、世界が西と東に分かれていたからこそ成功するビジネスモデルだったのです。
1989年にベルリンの壁が崩壊して、東西冷戦が終わると、安価で勤勉で優秀な労働力の供給国・地域がどっと出てきました。
90年以降、日本が得意だった仕事は韓国、台湾、シンガポール、そしてついには人口13億人の中国が登場して、もはや成り立たなくなりました。
ビジネスモデルが変われば、当然、働き方も変わるはずですが、いまだに日本の多くの企業では昔と同じ働き方、同じ評価の仕方をしているわけです。これでは、国際的に日本の競争力が上がるわけがないでしょう。

会社の仕組みだけではなく、法律や制度など、日本は改善するべきところが多いように感じます。
今は、「知恵の時代」です。朝から晩までダラダラと仕事をしても、いい知恵は出ません。

【以上転載】


インテル・ジャパンでも私が入社してしばらくの間は年俸制で残業手当は無かった。
以前紹介した品質管理担当のアメリカ人マネージャーのデニス・レナハンは、

「ちゃんと成果を出せば、何時に会社に来ても、何時に昼食を取っても、何時に帰宅してもいいんだ。それがインテル流の仕事のやり方だよ!」

と入社して直ぐに言われた。
また、私が有休を取らずに毎日仕事をしていたら、たまには取れと言われたので、

「私の仕事を休みの間、替わってやってくれる人がいないので、それは無理だ!」

と答えたら、

「お前が1週間や2週間、いや1ヶ月いなくたって、会社は潰れない、何とかなるものさ。だから心配せずに、たまには休め!」

と言われたことには、大変びっくりして、その後の人生において、又、部下を持った時の人事管理の点においても、大きく影響を受けた言葉だ。

「日本は少子高齢化でなおかつ出生率も低下していて、人口減少がどんどん加速されており、このままでは経済成長は困難だから、移民を積極的に受け入れる必要がある」

という意見が財界人や政治家から発言されることが多くなった。
しかし、私は、それには疑問を感じている。

まず、経済成長は必要なのか?ということで、人口が減れば、減ったなりの経済規模でいいのではないか?
それから、経済を維持するには、現在と同じくらいの人口が必要だというのは本当か?ということだ。
OECD加盟国の国民一人当たりのGDPのランキングを見ると、上位は北欧の国が多く、日本は最下位に近い位置にいる。

OECDの一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング:
http://ecodb.net/ranking/group/XK/imf_ngdpdpc.html

人口の少ない北欧諸国のGDPが高いことに注目すれば、必ずしも人口を維持しなくても、経済規模は維持できることを物語っている。
カルビーの会長が指摘されているように、日本は低賃金労働依存型事業から脱却し、もっと知的な仕事にシフトすることで、GDPを北欧並みに上げることが世界経済の中で生き残る唯一の方法であると考える。

ICT業界では、一時期BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が持て囃されて、それを具現化する様々なERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)システムの開発や導入が行われたが、失われた20年と言われているように、一向に生産性は上がっていない。
そして、あの時、欧米のソフトが入って来たが、日本企業は、自社の業務プロセスはTQCや改善運動の結果で最善のものになっているから、それを変えるつもりはないので、ソフトを自社の業務プロセスに合うように変更してくれ、即ち、カスタム化して欲しいということばかりで、素直に欧米のソフトを導入する日本企業は殆どなかったように聞いている。

これがそもそもの間違いで、ERPというのは、欧米のユーザー企業のニーズを調査し、最大公約数的な仕様を決めて開発したものなのだから、そのプロセスに日本企業が変えることこそ、リエンジニアリングと言えるのであって、自社の業務プロセスに合うようにしたら、紙ベースの業務プロセスを単にデジタル化するだけの話で、それでも多少の効率改善にはなるが、大幅改善にはならない。

その頃私がBPR関連のイベントのパネルディスカッションに参加した時、日本IBMを代表して出た人が、稟議のプロセスを電子印鑑を作り、全てメールで行えるようにして期間を短縮したと自慢げに発表したから、そんなもんは効率化とは言えない、そもそも稟議という仕組みを変えなければ、ディシージョン・メイキングの大幅な期間短縮はできないだろう!とコメントしたが、日本企業は未だに業務プロセスを根本的に改善することをやらず、社員の面子、業界の商習慣、自社の従来慣例を守り続けているから、生産性が上がらないのだ。

私は、大学を卒業して就職をする時、生産性の高い会社、成長性が見込める会社に入るということで、大企業ではなく、中小企業で成長力のあるという観点から東京エレクトロンを選んだ。
2016/09/29

Facebook、Amazon、Google、IBM、MicrosoftがAIで歴史的な提携を発表- - -TechCrunch

Facebook、Amazon、Google、IBM、MicrosoftがAIで歴史的な提携を発表- - -TechCrunch 2016年9月29日 by John Mannes
http://jp.techcrunch.com/2016/09/29/20160928facebook-amazon-google-ibm-and-microsoft-come-together-to-create-historic-partnership-on-ai/

こういうニュースが流れているのだが、これって、日本企業と関係省庁が常にやって来た、〇〇協会とか〇〇推進協議会といった業界団体を作る、ということではないか!
私は、日本企業が世界市場でディファクト標準を打ち立てられないのは、業界団体という護送船団方式で研究開発や市場調査をやると、革新性や独自性が削がれることが多く、デメリットこそあれ、メリットは無いと考えて来た。

現段階で、AIについて関係各社が集まって出来ること、やるべきことは、技術的にはまだまだ研究開発が必要と考えられるので、それらは自由に放置して、倫理問題を徹底的に話し合い「人工知能憲章」のようなものを制定するくらいではないかと思う。

米国企業も日本企業のように、創造性・革新性・独自性を失いつつあるのかな?
ベンチャーの中心はシリコンバレーから、中国、イスラエル、ドイツなどに移動しつつある、という話もあるから、20世紀からAIに取り組んで来たIBMなどの大手企業から、革新的なベンチャー企業へとシフトする可能性も高いのではないだろうか?

私もインテルでちょっとだけニューロコンピューターを担当したことがあったが、今のAIは、汎用コンピューターと大規模データベースで、大規模なソフトを力づくで走らせているだけのデジタル処理だが、人間に近づくためには、1/0のデジタルだけでは、難しいのではないだろうか?その中間のファジーな部分で人間は判断したり、思考することも多々あるように思うので、その辺の技術開発を推進しないと、本物の人工知能というか、人間には近づけないように思う。

HAL.jpg

2001年宇宙の旅で、HALは人間の唇の動きから、乗組員の会話の内容を知り、その乗組員を宇宙船外に放り出してしまうわけだが、そのHALもボードを1枚づつ抜かれて、最後の1枚を抜く前に言ったのは「私も夢を見るでしょうか?」ということで、夢を見るとか空想するといったことが出来るシステムにならないと本当の人工知能とは言えないと思う。
2016/09/22

IoT普及阻む決定的な問題

私もIoEの課題のところで、

3. 膨大な数のデバイスを有線で繋ぐことは困難であり、無線にしてもバッテリー交換は膨大なコストになるため、長寿命バッテリーか交換不要バッテリーが必要

と書いたが、元ワイヤードの編集長のケヴィン・ケリーさんも、東洋経済の下記インタビューで、
http://toyokeizai.net/articles/-/128808

最大の課題は「バッテリーの寿命」

と述べている。
これに対する妙案はあるのか?というと答えは「ある」。
しかし、ここではその具体的な解決法を公開することはできないが、あるということだけは述べておきたい。

公表できる時になったら、真っ先にここに書く予定なので、お楽しみに!

因みに、ケヴィンさんが書いた「〈インターネット〉の次に来るもの ~未来を決める12の法則」を翻訳したのは、朝日新聞をつい先日退職された服部桂さんだ。
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B01HQJ5DY0/toyokeizaia-22/?ref_=nav_signin&
1986/09/01

英会話上達法

日本では大卒なら、中学・高校・大学と最低でも8年間は英語の勉強をしているわけだが、英会話となると、多くの人が自信が無いという。
私の場合は、ある程度の自信があったのだが、どうも相手にとっては5歳児以下の片言だったようだ。

そこで、これは何とかしないといけない、と思い立ったのが40歳を過ぎた頃で、中学生の頃、NHKラジオの英会話を聴いていて、松本亨先生の本も何冊か買って持っていたことを思い出し、もう一度読み返してみた。
要約すると、以下のことを毎日やりなさい、ということだった。

(1). 毎朝鏡を見て自分の目を見つめる。
(2). 夜ベッドに入ってから眠るまでと、朝、目覚めて起き上がるまでの間に、日本語は忘れて、英語だけで考えてみる。
(3). 時間がある時は、ラジオの英語放送を聞き流す。


これを1ヶ月もやれば英語が話せるようになります、ということだった。

(1) は確かに外国人に会うと、覗き込むくらいに目を見つめられ、ちょっと怖いというか、後ろに下がってしまう感じだが、それに慣れないといけないということだ。

(2) は日本語と英語を翻訳していると、相手の話が途中でわからなくなり、パニックになり、話せなくなるので、英語で考えてそれをそのまま口に出し、相手の言うことは(3) のように聞き流してキーワードだけを捉える程度で、大体のことを理解すればいいということだ。考えてみれば、日本語でも、一字一句相手の言ったことを覚えているわけではなく、要約して理解しているだけだ。

(3) は耳を慣れさせるということだ。

私も半信半疑でやってみたが、最初の1週間くらいは殆ど進展がなく、

I'm hungry
I'm sleepy
This is a bed
What shall I do

程度のことしか考えられなかったが、しばらく続けると、段々に長い文章が浮かんで来るようになり、1ヶ月もすると、朝起きる直前に、英語で夢を見ていた。
それからは、相手の言うことを英語から日本語に翻訳し、それに対する日本語の答えを考えてから、英語に翻訳して返す、といったことをせずに、英会話ができるようになった。

それから、自分が言いたいことは何かを英語で考えると、日本語よりも論理的というか、強気になる感じがするので、絶対に引き下がらないぞ、相手に議論では負けないぞ!という気持ちにもなる。そうすると、例え議論が平行線であっても、相手は、

「お前の考えはわかった。同意はしいないが認めるよ」

と言ってくれる。流石に、個人の意志を尊重する、という欧米人の文化である。
お陰で、インテル本社から来たプロジェクトチームの連中と喧々諤々の喧嘩に近い議論も出来るようになり、彼らが私を日本企業に紹介する時は "He is not a Japanese. He is an American." と言って貰えるようになった。
それでも、以前、書いたように、私の英語は流暢な訳ではなく、ネイティブのきれいな英語を聴いている人たちからすれば、私の英語のレベルはエッジーだということである。
今は、別にそれでも通じれば良いと思っている。要は自分の意志を明確に伝えようという気力があるかどうかの問題でもある。

インテル本社から来てしばらく一緒に仕事をしていたi8086の開発技術者が、ある時ポロッと、

「今まで私は日本人の英語は理解できないと思っていた。プエルトリコ人のように歌うように話す英語が心地よいと思っていたが、日本でインテル・ジャパンの色々な人と話すと、内容はしっかりしているので、良く聞けば理解できることがわかった。それに対して、プエルトリコ人の英語は音楽のようだが、考えてみると、一体何を言いたかったのか、後で考えたらさっぱり解らなかった。」

と言っていた。だから日本人の皆さん、自信を持って言いたいことを言えばいいんです。
(そう言えば、私の大学の同期で、奥さんとイタリア旅行に行った時、2度ほど危ない目に遭いそうになったそうで、その時彼は、英語もイタリア語もできないので、日本語で大きな声で、こっちは怒っているんだぞ!という態度で怒鳴ったら、相手は黙ってすごすごと引いて行ったということで、彼は、いざとなったら日本語でいいんだ!態度で示せばいいんだ!と言っていた。)

そこで、部下や知り合いにこのトレーニング法を紹介して、実践してみるように勧めたのだが、殆どの人は3日坊主に終わってしまったようで、約に立ちました、という話はまだ聞いていない。
最低でも1ヶ月は我慢することが必要だが、それがどうも難しいらしい。

ただ、これは英会話はスムーズにできるようになる、ということで、通訳ができるようになるとか、翻訳ができるようになる訳ではないので、ご注意願いたい。
1980/01/31

「求めよ、さらば道は開かれん!」はウソ

「求め、よさらば道は開かれん!」というのが聖書にある言葉だと思っていたら、聖書は通読したことがないので、私が間違っていたようで、正しくは、

「求めよさらば与えられん、叩けよさらば開かれん」

というのが、『新約聖書 マタイ伝』の山上の垂訓にある言葉とのこと。

インテルジャパンに転職した最初の仕事は、メモリー関係のテストやアプリケーション技術のサポートなどをするFAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)だった。
最新のメモリー・テスターをテラダイン社から導入してテスト・プログラムを書いたりした。それらを必死でやって、大体できるようになった頃の1978年の終わり頃に、又しても加茂社長から、

「アメリカの本社に行って1年くらい開発の仕事をして欲しい。車のエンジン制御用のチップを日米欧の自動車メーカーとiインテルとで共同開発することになったから。君の他に、イギリスとドイツからもFAEが参加するよ」

と言われた。

「え~、でもテスターを動かし、プログラムを書ける人は他にいませんけど」

と言うと、

「後任を探して、採用して、トレーニングをして欲しいんだ」

ということだった。
う~ん、どうしよう?と考えたが、考えていても始まらないので、トレーニング不要な人を採用すればいいんだ、と思い付き、テラダイン社のトレーニングを一緒に受けた人の中から、最も優秀だと思っていた人に連絡して、会うことになり、説得した。
当時、彼は別の外資系半導体会社に勤めていたが、それ程有名な会社でもなく、日本での売り上げもそれ程ではなかったのと、社長のやり方に疑問を感じ始めていたようで、割とすんなりと転職してくれることになった。

余談だが、当時の秘書が、テラダイン社の営業からの電話を、私の留守に取り、伝言メモを書いてあったのだがそれが、

寺田医院の〇〇様より電話がありました。コールバックをお願いします。

というもので、最初は全く解らなかったが、〇〇さんはテラダイン社の営業の名前だったので、はたと気が付いたのは、
テラダインという会社を知らなかった秘書が寺田医院と聞き間違えたということだ。

さて、本題に戻ると、後継者も採用して翌年の3月の彼岸頃、家族(妻と1才4か月の娘)と共にアメリカに出発した。
確か、成田空港が開港しいて間もなくの頃で、初めて尽くしだった。

そしてその年の12月末までに開発した試作機を納入しないとお金が貰えない、ということで、色々なことがあったが、確か12月29日に、この世に1台しかない試作機をファーストクラスに丁重に載せて家族と共に帰国し、30日に納入した。
この辺りの米国滞在やシリコンバレーの超人のことなどは別途書くことにする。

予定通り開発を終え、帰国した私は、鼻高々だったこともあり、その頃は「求め、よさらば道は開かれん!と思っていたので、人事部長に昇給を迫った。
慣れないアメリカで、本社社員が殆ど帰社した後も残業して仕事をしたのだから、その分のことも考えて、給料を少し上げて欲しいと言ったのだった。
インテル・ジャパンの初代人事部長だった橋本さんは、いつもにやけている印象で、余りす好きではなく、他の若い社員たちも、何であんなおっさんが人事部長なんだ?と陰口を叩くことも多かった。
すると、人事部長の橋本さんはいつもにも増してニタニタしながら次のようなことを言った。

「あのね~、仕事というものは求めれば良い仕事が貰え、良い給料が貰えるものじゃないんですよ~。結果を出せば必ず見る人は見ているから大丈夫、チャンんと後からそれなりの報酬が着いて来るから。慌てないで、少し待って下さい!」

ということだった。
それから少し粘ったが、答えは同じことの繰り返しだった。

その後、確かに、品質管理マネージャーになり、昇給もされた。

橋下さんの話から学んだことも、その後、デザインセンターの人員を70名から35名にリストラする時などに大いに役立った。
それは、

仕事は自分から求めるものではない。どんな仕事でも与えられた仕事を完璧にこなせば、次の仕事は向こうから必ずやって来る。

ということで、これも、この時以来、今日まで、部下となった人や相談を受けた人には話して来たことで、この考え方は、殆どの人が納得してくれた。
例えば、外資系企業の女性社員は往々にいわゆる「お茶くみ」をさせられることも多く、それが不満だったりするのだが、そういう人にも、

「この人は濃いめで砂糖何個でミルク付き、この人は薄めのブラック、といったことも覚えて完璧にやれば、それを卒業して新人にバトンタッチすることになる」

と説明し、納得して貰ったことが何度もある。
お茶入れに文句を言う人は、本来の仕事も完璧に出来ていない場合が多いのだ。

自分の場合を振り返っても、最初のシリコンバレー行き、インテル・ジャパンへの転職、FAEから本社での開発、帰国後、品質管理マネージャー、デザインセンター・マネージャー等、自分が求めたわけではなく、向こうから来たものだ。
今までに唯一自分から求めたのは、インテルがマルチメディア事業を始めると聞いて、担当だったデザインセンターの仕事を部下に任せ、全社から精鋭7人を集めて新しいグループを創ったことくらいだ。

結局、お世話になった橋本さんにはお礼を言うことなく、結構お年だったので、やがていつの間にか退職されてしまい、最初の頃は余り信頼していなかったことも含めて、お礼とお詫びを申し上るべきだったと反省している。
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